皆さんこんにちは。箭内宏紀です。
今日はビジネスの話は抜きに、最近私がハマっているものについて書いてみようと思います。私の中では非常に高価な(それも人生で最も高価な)買い物になったのですが、買って正解でしたし、日々の幸福感がすごく上がりました。もし読者の方の中に同様のものを検討中の方がいらっしゃれば、今回の記事が何かの参考になれば幸いです。
何を買ったのかというと、デイトナです。ロレックスの中でもデイトナというモデルがあるのですが、私はデイトナがすごく好きで憧れていました。魅力は何と言ってもあのクロノグラフ。配色やモデルにも寄りますが、上品で高貴な面構えであります。よくいわれる通り「ロレックスは成功者の証です」という宣伝文句がありますが、デイトナこそ成功者の証という名に相応しいと私は考えています。そのほかのモデルも好きで、特にエクスプローラー1は今でも欲しいくらい。結局、デイトナと最後まで迷ったのですが、デイトナと運命的な出会いがありまして、デイトナを購入するに至りました。
「時計一つに運命だなんて! 大げさすぎる!」とおっしゃる方もいるでしょう。お気持ちはよくわかります。でも、そういう方は失礼ながらきっとデイトナのことを知らないのだと思います(余談ですが、若干古い男の4大ロマンとしてスーツ、車、革靴、時計があります。そして未来永劫尽きないであろう男の3大ロマンとして地底、宇宙、巨大生物がありますね笑)。
閑話休題。そもそもデイトナは世界的に品薄で、正規店ではまず購入できません。私も3年間探し回りました。日本中、ブティックを駆け回りましたし、中古店や並行輸入品も合わせたら20店鋪は見ました。
確かに、中古店ならデイトナはあります。でも自分の欲しいモデルがなかなかありません。何よりデイトナはプレミア価格になっていて、正規値段よりもプラス50万、100万となっていることが多いのです。例えば正規値段が100万円だったら、中古(かつ、10年以上前のもの)が倍の200万円程度の価格で売られているという感じです。もちろんモデルにもよりますが、デイトナが正規店で正規価格で買えるという事は滅多にありません。
そのぐらい品薄で、希少なものがデイトナでございます。だからこそ世の紳士たちはデイトナが欲しくてもなかなか買えなくて、足繁く通っても、結局、多くの場合は諦めてしまうのです。また、一部の人たちからは「高級時計なんて情弱の極みであり、意味がない」という意見もあります。「時間なんてスマホでみたらいいじゃん」と。そういう考えの人はそうすれば良いでしょう。でも、私は違います。この時計にはロマンスが詰まっていて「見る度にテンションが上がる」という最高の価値があるということを感じています。
最も残念な事は、他人の意見に流されてデイトナの購入を諦める事です。人生は一度きりです。本当に欲しいものを買った方が良いのではないでしょうか? コスパとか費用対効果とかもっともらしく語る人は多くいますが、それは人生をよりよく生きるための思考であり、デイトナを買って幸福度がより上がるならば、経済的損失が多少あったとしてもそれでいいと私は思います。
もちろん、デイトナこそ時計界で最も良いものかといえば、それはわかりません。ロレックスよりも歴史が古く、高価で、美しいものはあります。例えば私の友人はパテック・フィリップのアクアノートという時計をつけています。これはデイトナよりも高価ですし、中古でも500万円以上のものもあります。私は興味はありませんが、とても美しい事は間違いありません。
IWCやジャガールクルトなども素晴らしい時計です。紳士に相応しい時計と言えるでしょう。アベンジャーズにも出てくる元天才外科医で魔術師のドクター・ストレンジはジャガールクルトを身につけていますね。あのモデルもすごくかっこいいです。日本製にこだわるならばグランドセイコーもとても素敵な選択だと思います。実は私もグランドセイコーは選択肢にありました。銀座でみたときにすごく美しくて、それをつけている自分を想像しては「いいなぁ」と思ったものです。でもデイトナが諦めきれなくて、、、。
そうそう、余談ですがアンティークウォッチという世界も魅力的です。というのも、アンティークウォッチならば50〜60万円もだせばとても上質で、歴史の趣のある時計が手に入ります。私がお世話になっているパーソナルスタイリストの依田さんはその方面に詳しく、いくつかご紹介いただきました。
アンティークウォッチのことを調べていただければわかりますが、非常に魅力的な世界です。しかし、同時に、デメリットも理解しておくと良いでしょう。というのも、50〜70年前の時計ですから、いつ止まるかわからないという懸念が残ります。だからこそ、買う時の価格も大事ですが、アフターフォローをしてくれるかどうかがより重要になります。信頼できる筋から買い、アフターフォローをしっかりと受けることをお勧めします。時計と長く付き合うためにです。
アンティークウォッチの中にはリダン(修理時に元の部品を組み替えて中を新しくすること。その際に全く新しい時計として作り変えてしまう)という文化があり、ロレックスのかなり古い懐中時計などを腕時計にリフォームしたものなども売られています。10〜20万も出せば買えるでしょう。
10万円でロレックスがつけられると思ったらすごいことだと思います。ただ、それをロレックスのオリジナルと呼べるかというと、微妙だと思います。また正規店で修理はできません。ロレックスという名前が書かれた時計なだけで、それをつけているからといってロレックスの保有者であるとは言えないと私は思います(虎の威を借る狐的な感じがして。ナシじゃないと思いますが私はしないですね笑)
話を戻しましょう。私は先日NYに行ったのですが、5番街のロレックスのNYブティックに立ち寄った時のことです。「すみません、デイトナはありますか?」とダメ元で聞いてみたら、なんと「ありますよ!」とのことでした。接客してくれたのはドイツ人の女性店員でアリーシャさんという人(多分名前はそんな感じでした笑)
しかも、彼女はこうも続けました。「このデイトナは昨日の夕方に入ったばかりで、今日中には売れると思っていましたよ。あなたがそうね。まずはおめでとう!」と。なんともまあ、なんともまあ笑
話をすると、やはりデイトナはアメリカだけでなく世界的にも品薄で、ほとんど出回らないとのことでした。その後、価格を聞いてみたのですが、私の考えていた予算の2倍ほど高い金額でした。
というのも、このモデルはゴールド(金)が素材に使われているからです。デイトナには3つのモデルがあり、SS製(ステンレス製で100〜200万)、ゴールド製(300〜500万)、プラチナ製(500万〜)などのラインナップがあります。そこにダイヤなどの宝飾がつけばさらに値段は跳ね上がります(ちなみにNYのオークションでは、ポール・ニューマンという方が20億のロレックスを落札したとかで、値段はもう凄まじいことになっているわけです)。
このモデルはゴールドの中にプラチナも若干入っているようでした。というのもこれには訳があって、一般的な金の時計といえばK18 の金と、銅の合金で作られています。しかし、この配合だと、金属の風化・変色によって、色味が変わってしまうとのことでした。そこでロレックス社が独自に開発した金とプラチナの配合によって「エバーローズゴールド(永遠に色褪せないピンクゴールド)」というものが生まれた訳です。見れば見るほど美しい。金無垢よりも上品で紳士的で、何より飽きがこないデザインに目を奪われました。
ただ、、、流石に時計にそのぐらいの金額を出すのは本当に悩みました。でも、私は3年間という月日をデイトナを探していました。そのことを思い出したのです。雨の日も風の日も、時計店を回って、「デイトナありますか?」と聞いて回る日々。後半はNOと言われすぎて、心が無になっていました笑(どうせ「ない」って言われると思いながら聞いていましたしね笑)
また、日本でのロレックスを買うということに少し不満足な気持ちもありました。日本のロレックス店舗の接客で悲しい思いをしたことがあるからです。
というのも「デイトナありますか?」と聞いて回る人は私以外にもおそらく数百人いて、非常に多くの人がデイトナマラソン(デイトナを探して歩くこと)をしている模様です。店員の方はその対応に辟易していて、困っている感じもしました。私も転売屋さんに間違われたのか非常にそっけない対応をされて残念なことがありました。
そもそも、デイトナマラソンをしている人は2種類います。ひとりは、本当にデイトナが好きで、身に付けたい人。もうひとりは転売屋で、デイトナを買ってすぐに販売することで差益を得ようとする人。詳しい方に聞いたところ、大抵の場合が後者であるようで、ブティックの方もうんざりしているようでした。
で、私は本気の本気の本気でデイトナに恋をしていて、ずっと探し回っているのですが、、、先述の通り、店員の方から結構うんざりした対応をされることが何度かありました。私の言い分としてはなるべく紳士的に伺ったつもりなんですが、接客の対応があまり好きになれなくてうちの近所のロレックスブティックでは買いたくないなと思っていたんです。
それに対してアリーシャはとても素敵な対応をしてくれました。「すごく高価なものだから時間をかけて悩んでね。そうね、チョコレートは食べる? 飲み物はお水でいいかしら?」と。来店した私たちに気を遣ってくれたことをよく覚えています。それだけではなく、NYのマネージャーや支配人的な人も挨拶に来てくれました。支配人はおそらく60代ぐらいの白人の方なのですがすごく紳士的でかっこよかった。彼は私にこう言いました。
「よろしければ私のデイトナを見てください。これは25年使ってるんですよ。いかがですか?はめてみますか?」
彼のモデルはSS製。白の文字盤で、すごくスマートに見えましたね。かっこよかったです。動画はこちら。
私はデイトナを購入する旨をお伝えし、アリーシャはとても喜んでくれました。「あなたなら最高に似合うわ」。香港系のマネージャーも、遠くからずっと黙って私たちを見ていたのですが、購入が決まるとスタスタと歩み寄ってきて私たちに言いました。「コングラッチェレーション。さあ、ハイタッチだ」。無愛想にずっと私たちを見ていた彼が、まさかハイタッチをしてくるとは笑 山王戦の桜木花道と流川ばりにめっちゃハイタッチしました。この時はもう「ああ、私はデイトナを手にしたんだ。これからはデイトナをつけて生きれるんだ」となんだか妙に嬉しくなったのを覚えています。そして、それ以上に自分が今いる場所を強く自覚しました。ああ、ここはNYなんだ。これがNYなんだな、と非常に胸が熱くなりました。
「そうと決まったらお祝いしなきゃ! シャンパンを入れるわね」とアリーシャ。用意されたシャンパンはよく冷えていて、高額の決済に火照った体を程よく冷やしてくれました。私にとってこのNY5番街での体験は一生忘れないでしょう。
私がデイトナを買った理由は好きだからということに加えて、実はもう一つあります。それはいつか子どもができたときにプレゼントをしたいと思ったからです。あるいは漫画ワンピースでいうところのシャンクス的行為(※シャンクスはルフィにトレードマークの麦わら帽子を託した)をしたいからです。
ブティックの支配人がそうであったように、ある程度の品質の時計はしっかりメンテナンスをすれば数十年は動きます。一生物といっても良いでしょう。だからこそ、私は身に付けたいと思ったし、”その時”が来た時に愛する人に渡したいと思ったのです。
あとは、換金性の高さですよね。私は何があっても絶対に売るつもりはないのですが、経営者たるものリスクに備えなければなりません。いつ時代の風向きが変わるかは予測困難な時代ですから、万が一、何かがあった時のためにお金に換えられる資産があった方が良いでしょう。私の場合は投資はほとんどしないので、お金を貯金のまま寝かせるのはもったいないとも思ったんです。
ロレックスをつけて生活がどう変わったかといえば、非常に興味深い変化がありました。色々なお店に出かけるととても丁寧に接客してくれるということです。ロレックスを知っている人は非常に多く、また日本人特有の認知バイアスがあります。先述の通り「ロレックス=成功者」というものですね。
簡単にいうと、周りからの見る目が変わった感じです。お金持ちに見られて良いことはほとんどないのですが、社会的な信用を得られやすくなったという点はややあると思います。これは20代の方にはすごくオススメな話です。というのも、これは20代の一部の経営者の方で頭を悩ませがちなことかと思いますが、日本は儒教思想が強いので若いとそれだけで舐められることが多いです。
私も、25歳から起業しているので、自分がやっている仕事を舐められたり、人間性をやや軽く見られることがありました。良識ある経営者や大人の方々は何歳差であろうとも敬語で対応に話をしてくれましたが、そうでない人も多かったです。
もちろん、それは私の人柄や説明力のなさもあってのことですが、やはり若いと舐められることがあります。真面目にやってても胡散臭く思われたり、頼りなく思われたりもします。その一助にロレックスは有効でしょう。無言で実績を語ってくれますからね。これは斎藤一人さんという銀座まるかんの創始者の方も講演で話していた内容ですが、「商売人たるもの儲かっているように見せないとならん」という旨の話があります。これは一理あると思います。なので、20代の若い人にこそロレックスは良いと思いますよ。
まあ、若い起業家にはいろんな人がいます。詐欺っぽいことをやっている人もいますし、商品に中身がないからこそ、自分をブランディングしたくて、必死に儲かってるアピールをする人もいます。難しい部分ではありますが、ロレックスをつけて真面目に仕事をやっていればいいと思います。
それとは別に、先日、招待された会合で、たまたま横に座っていた経営者の方もロレックスをつけていました。モデルはデイトジャストです。彼は私よりも20歳は年上に見えましたが、非常に会話が盛り上がりました。ロレックスはわかる人にはわかるツールなんだと思います。
全然関係ないですが、私はHIPHOPが好きなのですが、BADHOPのワイザーさんが800万ぐらいのロレックスの時計を購入したというニュースをこないだ知りました。景気が良い話で何よりです。そもそも彼のルーツは川崎の工業地帯。本人のリリックにもある通り、「手錠からロレックス」って夢があると思いませんか?(※少年院に入っていた過去があります) 犯罪が身近な生活から、アーティストとしての成功なんて、最高だと思います。
なんだか話がとっちらかりましたが、私とデイトナについてもう一言添えましょう。私は自分がロレックスを買ったことをブログに書いたり人に話したりするかどうか、少しだけ悩みました。というのも、この手のことを書くと嫉妬されたり、攻撃されたりするリスクがあるからです。
人生がうまくいっていない時や劣等感が強い状態の時、人は他人の成功やポジティブな話に怒りや不満を感じたりするものです。私もそういう時期があったから、よくわかります。だから「そんなリスクを取ってまで書く必要ないよな」と思っていたのです。でも、勇気を出して書くことにしました。
その背景には、デイトナが本当に欲しい人に向けてのエールです。欲しいなら、絶対買った方が良いです。確かにお金のことはあるけれど、帰るときに買った方が良いです。無理して買うものではないけれど、買って損することはないかと思います。
稀少性があってほとんど売ってないけれど、探し続ければ、いつかは見つかるということも伝えたかったです。そして、海外も視野に入れて探すと、良いかもしれないということを知って欲しかったです。というのも、NYには二つのロレックスのブティックがあります。一つは私がいった5番街の本店。そこと、セントラルパーク近くのブティックです。実は、私が訪れたその日に、同時に同じモデルが両方の店で販売されていたようです。そして同じ日に販売されていたようです。そういうこともあるので、チャンスは運やタイミング次第ですが、知っておいて欲しいと思いました。
そして、私の腕にこれからおそらく誰かにあげるまでデイトナが寄り添うわけですが、私はこのデイトナを見る度に、自分の仕事への責任や人を愛し、敬意を持って接することを深く思い出すようにしています。というのも、このデイトナは、これまでの仕事の上に成り立った成果物だからです。ラッパーのワイザーさんとは異なりますが、私は最初からお金があったわけじゃない。工場勤務でネジを死ぬほど閉めて苦労していた時期があるし、起業後も16時間労働を数年続けました。誰よりも働いたし、成果にコミットして頑張った自負があるから。デイトナに見合う男だと自分で確信したから買ったんです。
私の仕事は対話です。人様とお話をして、人生をより良い方向にチェンジするように働きかけます。そこには心理学者エーリッヒ・フロムがいうところの「愛する」という技術と、ビジネスや心理学に関する豊富な知識が求められるほか、やはり人に敬意を持ち、大切な人を大切にするという基本信念を忘れてはいけないと思うのです。
人は「ロレックス=成功者の証」と言いますが、私にとってはそれは重要ではありません。私からすると「ロレックス=プロ意識(仕事への責任、周りへの敬意と愛)」ですね。この時計をつけるからには、もっといい仕事をしたい。もっと人を愛し愛されて、より良い社会を作りたい。最高の会社でありたい。そう思うのです。
最後に、シャンパンを飲み終えてNYのブティックを後にした時のことです。近くの教会で、鐘が鳴ったんですよ。私は教会の鐘が大好きでして、あの音を聞く度に神聖な気持ちになります。私は特定の宗教に入っているわけではないし、入る予定もないですが「とにかくこれは神の祝福なんだな」と都合よく解釈してしまいましたね笑
幸運は勇者に味方するという言葉がありますが、私はこれからも必要な限りリスクを取って、人生の喜びを追求していきたいと思います。ロレックス、デイトナは本当に良い時計ですよ。購入希望の方はぜひ諦めずに。できれば(これは私のエゴですが)、中古屋さんで購入するよりも、正規のブティックで購入し、その体験自体を楽しめると良いと思います。中古屋さんで買うのも悪くはありませんが、その体験自体にも私は価値があると思っていて。いつか私が歳を重ねて、誰かにこの時計をプレゼントするときに、NYの五番街の本店のブティックで〜〜〜みたいなことをいうのっていいなーと個人的には思うんですよね。ロマンがあるじゃないですか笑
今日は(といっても毎回そうなんですが)推敲なしの乱筆ですみません。長文お読みいただきましてありがとうございます! また!